北海道を除く日本全国に分布するハグロトンボ、アオハダトンボの方が綺麗だという方もいらっしゃるかもしれませんが、自分は真っ黒な翅をしたハグロトンボも大好きです。
実家の道を一つ挟んだ目の前の川に毎年夏になるとひらひらとたくさん飛んでいたので、自分にとってノスタルジックなトンボのひとつです。

ハグロトンボの仲間は以前アオハダトンボ属(Calopteryx)に分類されていましたが、DNA解析の結果、ハグロトンボ属(Atrocalopteryx)が新設されました。
それによってハグロトンボの学名もCalopteryx atrataからAtrocalopteryx atrataとなっています。
本種は東アジア、北米、国内では北海道を除く広い地域に分布しています。



カワトンボ科らしいスリムで繊細な体型と、メタリックな光沢を放ち見る角度によって青や緑に変化する胸部と腹部、そしてその名の通り烏の濡羽色のような艶やかな黒い翅が特徴です。

ヤンマ科のトンボの鋭く空を裂き、急停止からのホバリング、というような優れた飛行能力はありませんが、その黒々とした翅を蝶のようにひらひらぱたぱたとさせ、川面を飛び回る姿は非常に美しく、優雅でさえあります。

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ハグロトンボのオス

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ハグロトンボのメス
オスと比較して少し地味な体色をしています。
胸部は少し緑がかっていますが、腹部は黒~赤褐色のような色合いです。






成虫は5~10月頃まで見られ、主に平地から丘陵地の艇水植物や沈水植物が生い茂る緩やかな流れに生息します。カワトンボ科は水質や流れにうるさい種が多いですが、このハグロトンボは止水域に近いようなゆっくりとした流れの川にも住みつき、しかも水質汚濁にも比較的強い種です。
羽化してすぐの成虫は薄暗い林を好み、しばらく水域から離れて暮らします。成熟すると再び水域に戻り、日当たりのよい水辺の石や植物などにとまり縄張りを作ります。