この記事のタイトルの質問を投げかけられて、「木」と答える人は多いのではないでしょうか?
材や産卵木、マットを食べて幼虫は成長するため、そう考えるのはおかしくありませんし、全くの間違いというわけでもありません。



クワガタの産卵用あるいは育成用として販売されている産卵木、マットはキノコ栽培に使われたホダ木や発酵させたものばかりです。
クワガタの幼虫が本当に木をそのまま栄養として取り込み成長することができるのならば、切り倒したばかりの生木でもいいはずではないでしょうか?
しかし、クワガタはまだ生きている木には絶対産卵しませんし、幼虫も朽ちていない木材では成長できません。それは幼虫には木をそのまま分解することが不可能だからです。


ブログランキングから他のブリーダーの飼育方法を知ることができます
新しいタブで開きます

にほんブログ村 その他ペットブログ クワガタへ
にほんブログ村

クワガタランキング




木の細胞壁は主にリグニン、セルロース、ヘミセルロースで出来ています。
リグニンは芳香族化合物の一種で、セルロース、ヘミセルロースはどちらも糖の重結合ですが、そのどれも幼虫には分解不可能な化学物質です。
そこで活躍するのが木材腐朽菌です、腐朽菌の活動によってこれらの物質を分解することで幼虫が食べられるようになります。
特にリグニンの分解はこの菌類のみに限られているため、腐朽菌が木材に繁殖していることは、クワガタの幼虫が成育するための前提となります。
ちなみに、幼虫はこの芳香族化合物であるリグニンを嫌うため、十分に腐朽(発酵)が進んだ材しか食べようとしません。
オガをビンに詰め、菌種を打ち込んだ菌糸ビンではキノコの菌糸(白色腐朽菌)がこの役割を担っています。

この他にセルロースやヘミセルロースの分解を行っていると考えられているものがあります。
それは共生菌や微生物の存在です。
材を食べるシロアリや草食動物は体内にセルロースの分解酵素(セルラーゼ)を生産する微生物と共生しており、消化吸収することができています。
クワガタの幼虫の体内にも同じように、セルロースやヘミセルロースを分解する機構が存在していると考えられています。

最後に、腐朽された木材以外に幼虫にとって重要な栄養と考えられているものがあります。それは、腐朽菌(菌糸)や共生菌そのものです。菌糸にはタンパク質、ビタミン、ミネラルが含まれており、成虫の外骨格を形成するのに必要なカルシウムやキチン質も豊富です。
糖類は木材の中に十分含まれていますが、成虫の身体を大きくするためのその他の栄養素は圧倒的に菌糸から摂取したほうが効率的でしょう。
菌糸ビンを使うと大きな成虫を作出できる理由はここにあるみたいですね。

そして幼虫は自分の体内の共生菌も吸収し、自分の栄養にしているという説もあります。

つまりクワガタの幼虫はそのままの木ではなく、「木から分解された糖類及び分解者である腐朽菌と体内の共生菌」を食べているということですね。
ちなみにその糖類が単糖(グルコース)がいいのか、ある程度まで分解された多糖類の方がいいのかは不明なので、どこぞの大学に実験して調べてほしいです。
では、今回はこのへんで。