アンタエウス



ヒマラヤ系アンタエウスの産地



ヒマラヤ系アンタエウスオオクワガタ(Dorcus antaeus antaeus)には、国産オオクワガタと同じく何種類もの血統や産地が存在しています。
産地として有名な国としては、インド、ネパール、ブータンの3カ国が挙げられ、現在日本で流通しているヒマラヤ系アンテは元を辿れば全てこの3カ国から輸入されたものです。



インドで有名な産地といえば、シッキム州{ガントク、テンドン(不明)、ペマヤンツェ}、西ベンガル州{ダージリン、タイガーヒル(山)、タロデンタン(不明)、カリンポン}、それと少数ではありますがアルナーチャルプラデーシュ州あたりだと思います。
テンドンやタロデンタンというのはアンタエウスの産地としては表記してありますが、一体何の名前なのか、調べても分かりませんでした。
タイガーヒルに関しては、ダージリン地方にある山の名前です。なぜダージリンとわざわざ分ける必要があるのか理解できません。
シッキム州より東のアッサム地方はジャムナ川流域の盆地なのでオオクワガタが生息するような森林部が少ないです。
アッサムよりさらに東のナガランド州にはアンタエウスが生息しており日本にも輸入されていますが、ここのアンタエウスは地勢的にも見た目的にもインドシナ系アンタエウスに近い印象を受けます。ですので、インドにおけるヒマラヤ系アンテの生息域はほとんど西ベンガルとシッキム2つの州に限られると言っていいでしょう。

続いてネパールの産地は、コータン(郡)、カトマンズ(町)、コシ(県)、トゥムリンタール(町)、ポカラ(町)、マルシャンディー(川)、イラム(町)、バテダラ(山)、サガルマサ(県)、シヴァプリ(山脈)、などなどが挙げられます。
他の方のブログを参考に列挙してみましたが、郡、県、町、川、山、なんの区分もなくごっちゃにされています。
多くのブリーダーたちがなぜ自分で調べずにこのような適当な産地分けで納得しているのか、甚だ疑問です。よくコシ州トゥムリンタール産と表記してあるネパールアンテを見かけますが、ネパールの州は第一州~第七州という風に区分されており、コシ州という州は存在しません。

ブータンの産地は、モンガー県、シェムガン県、トンサ県、などがメジャーではないでしょうか?


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細かすぎる産地分けとその理由



ブータンの産地とネパールの産地では約600km離れています。これくらい距離があれば、地域による遺伝的な差がみられるかもしれませんし、それによる個体の形質の差もあるかもしれません。
ただ、ほんの数kmしか離れていない場合に、わざわざ産地を分ける必要があるのかどうかは疑問です。タイガーヒルとダージリンのように同じ地域なのに別産地のような表記がされていたり、同じ地域でも採れた山の名前が付いたりしています。
シッキム州と西ベンガル州は隣接しており、アンタエウスオオクワガタが採集できるのは限定的な範囲のみです。
いくらDorcus属が飛行能力が低いため地域による差が大きいといっても、さすがにこの範囲で遺伝的な差が生じるとは考えられません。
遺伝的な差がみられないほど近い地域から採集された個体達を、異常に細かく産地分けし管理しながらブリードするというのは、違和感があります。
ダージリン産とタイガーヒル産のアンタエウスをわざわざ血が混じらないよう別々にブリードする意味はありません、同じ産地なのですから。
仮にダージリン産アンテとタイガーヒル産アンテに見た目の違いがあったとすれば、それは地域差ではなく、個体差です。ブリード品であれば、塁代によって個体差を恣意的に操作した結果でしかありません。
そこにはダージリン産にはこういう特徴が大きくなるように塁代しよう、タイガーヒル産の成虫はこういう見た目になるように血を掛け合わせよう、といった人間の意思が介在しています。
ワイルド個体を標本にする際、採集地を詳しく記載する以外の目的で、ここまで産地を分ける必要はないと思います。

では、なぜアンタエウスオオクワガタは異常と呼べるほどの詳しい産地分けがされているのでしょうか?その理由にはアンタエウスでお金儲けをしようという業者たちの思惑が存在しています。

90年代後半、世間はオオクワブームであり、ちょうどその頃に外国産のカブトやクワガタにもブームが到来しました。98年ごろにはアンタエウスオオクワガタ(特にインドアンテ)のブームに火が付き、成虫のペアは数十万の価格で取引されていました。
正式に外国産クワガタの輸入が解禁となった99年12月以降、供給が増えるにつれインドアンテのブームは徐々に下火となり、価格は下落していきます。
この価格の下落に対抗すべく、業者は珍しい産地名をアンタエウスに表記してブランドを付け、購買意欲を煽ろうとしました。
その結果、産地と呼ぶには非常に局地的である山や村の名前が表記されたアンタエウスが大量に出回ってしまったわけです。